なぜ、絵文字は崩れるのか
ここから下は、上の一覧をどうやって635個まで絞ったのかの説明です。仕組みが分かると、一覧にない絵文字を使いたくなったときにも自分で判断できます。
1. 崩れているところは、送った側からは絶対に見えない
絵文字が壊れるのは、いつも受け取った人の端末です。あなたの画面には、あなたの端末が持っているフォントで描かれた、正しい絵文字が表示されます。テスト送信して自分で確認しても、そこには何の異常も映りません。
だから「自分の環境で確認したから大丈夫」は根拠になりません。判断できるのは見た目ではなく、その絵文字が持っている属性データだけです。この一覧は、その属性から機械的に選別しています。
2. 崩れ方は4種類しかない
「消えてなくなる」と思われがちですが、絵文字が消えることはほぼありません。絵文字は画像ではなく文字だからです。起きるのは、別のものに置き換わることです。
| 崩れ方 | 例 | 結果 | 原因 |
|---|---|---|---|
| 豆腐 | 🫠 | □ | 端末のフォントにその絵文字が入っていない。追加が新しいものほど起きやすい |
| 分解 | 👨👩👧 | 👨👩👧 | 複数の絵文字を見えない文字でつないだ形。つなぎ目が外れると1文字が3文字に増える |
| 白黒化 | ❤️ | ❤︎ | もとは記号で、色をつける指定を足して絵文字にしている。指定が外れると記号に戻る |
| 英字化 | 🇯🇵 | JP | 国旗は国コード2文字の組み合わせ。旗の絵を持たない環境では文字がそのまま出る |
件名でとくに厄介なのは分解です。豆腐は1文字が1文字に置き換わるだけですが、分解は文字数が増えます。受信トレイの一覧は端末によって30文字前後しか表示されないので、絵文字ひとつで末尾が切れることがあります。
3. 送る側にも、絵文字が消える落とし穴がある
ここは他ではあまり触れられていませんが、実害が大きい部分です。1通のメールは3つのパートに分かれていて、それぞれ別々に文字コードが決まります。
? が出るため、自分でテスト受信しても気づけない。ISO-2022-JP は1990年代から使われている日本語メール専用の古い文字コードで、漢字・かな・英数字しか収録されていません。絵文字の居場所がそもそも存在しないため、受信側が何であろうと ? になるか消えます。
これが起きやすいのは、配信ツールを使わず自社のシステムやCMSから直接メールを送っている場合です。PHPで mb_language("Japanese") を指定して mb_send_mail() を使うと、文字コードが ISO-2022-JP に固定されます。古いECサイトの注文確認メールや会員登録の自動返信に残っていることがあります。
確認方法:自分宛にテスト配信し、メールのソースを表示して Content-Type: text/plain; charset= の行を見てください。UTF-8 ならそのまま絵文字を使えます。ISO-2022-JP なら、絵文字を選ぶ以前の問題です。
配配メール・ブラストメール・SendGrid・Mailchimp などの配信サービスを使っている場合は、いずれもUTF-8が既定なのでまず起きません。
4. 件名と本文で、基準を変えている理由
崩れ方そのものは件名でも本文でも同じです。違うのは崩れたときの被害の大きさです。
本文なら、白黒になっても前後の文章から意味が読み取れます。文字数の制限もありません。一方の件名は、表示できる文字数が短いうえ、崩れた状態が開封前の第一印象になります。逃げ場がないぶん、条件を厳しくしています。
組み合わせ絵文字 1,614/肌の色ちがい 665/国旗 262/白黒になりうる記号 207/囲み数字 12 を除外
さらに、2017年より後に追加された新しい絵文字を除外
最後に残った635個は、2010年に日本の携帯電話の絵文字がそのままUnicodeへ登録された世代です。ドコモ・au・ソフトバンクのいずれかに実在した絵文字と、ちょうど一致します。15年以上どの端末にも入り続けている集合なので、これ以上は絞りようがありません。
よくある質問
件名に絵文字を入れると開封率は上がりますか
上がるとは言い切れません。配信サービス各社が実施した検証では、絵文字の有無による開封率の差はごくわずかで、明確な効果は確認されていないという結果が出ています。海外の調査では、件名の絵文字が受け取り手のネガティブな感情を強める場合があるという指摘もあります。
読み手は件名の内容を見て開封を決めているので、絵文字は装飾として捉えるのが実態に近いようです。少なくとも「入れれば上がる」と期待して崩れるリスクを負う理由はありません。
いくつまで使っていいですか
件名なら1個が目安です。絵文字は全角1文字ぶんの幅を取るので、2個入れると表示できる文字数がそのぶん減ります。3個以上並べると迷惑メール的な印象を与えることもあります。
スマホからコピーすると、見えない文字が混ざると聞きました
本当です。iPhoneやMacの絵文字パレットは、⭐ のように本来不要な絵文字にも「色をつける指定」(異体字セレクタ)を自動で付けることがあります。見た目は変わりませんが、件名では1文字ぶん無駄に消費します。
この一覧のコピーボタンは、その指定を取り除いた最小の形を渡します。手元の絵文字に余計な文字が付いているかどうかは、上の検索欄に貼り付ければ判定できます。
LINEでも同じことが起きますか
起きません。LINEは端末のフォントで絵文字を表示するので、メールのような文字コードの問題は発生しません。「キャリアによって絵文字が違うから文字化けする」という説明を見かけますが、これはガラケー時代の話で、現在のスマートフォンには当てはまりません。
この一覧にない絵文字は、絶対に使えませんか
使えないわけではなく、環境によって見た目が変わる可能性があるという意味です。社内向けの連絡など受信環境が分かっている相手なら問題になりません。不特定多数へのメルマガのように、相手の端末を選べない場面で効いてきます。